きみのことが好きだよ

きみがぼくのこと知らなくても

1か月考えたけど掛け持ちができなかった話。

私は約1か月前、正しくは17日前だから2週間ほど前に人生でこれ以上運を使うことはないだろうと20歳の誕生日を迎えて間もなくして思う出来事に出会った。2015年7月5日。A.B.C-Z夏のファンミーティング『聞いて!見て!さわって♡A.B.C-Z』神戸会場での出来事である。

そもそもこのイベントは5月に発売されたアルバム『A.B.Sea Market』の購入者イベントであり、アルバム2枚分のシリアルコードで1口イベントに申し込めるというものだった。アルバムを初回盤、通常版、えび店盤(ショップ盤)と4枚購入していた私は2口応募し、運よく当選することができた。ちなみに4種類買っているのはイベント参加の為ではなく収録楽曲や特典がそれぞれ異なるからである。おすすめは初回Aだよ!

 

A.B.Sea Market(初回限定盤A)

A.B.Sea Market(初回限定盤A)

 

 

当選しただけでもラッキーと思っていた私は、前日に行われた東京会場のレポを見て頭を抱えた。なんと整理番号が配られて、メンバーに選ばれたファンがステージに上がるらしい。なんだその公開処刑は。赤の他人であるファンと自分の好きなメンバーが舞台上で接触しているのを見せつけられるのか。正直がっかりした。タイトルにも『さわって♡』とあるようにある程度の接触があることは想定していたが、せいぜい最後のハイタッチか握手程度だろうと予測していたのだ。想定通り参加者全員平等にメンバー5人とハイタッチできる機会が設けられていたが、ジャニーズワールドのお見送りと同程度の速度である。

私ははっきり言って接触は好きではない。キラキラしたアイドルの目に私のような下賤の者の存在を映してはならないという妙な使命感もあるし、うちわの名前を見てもらった3秒間だけ彼らと私の時間が交われば十分だと思っているからだ。ファンサうちわも持たない。うちわはただ「ここにファンがいるよ」と伝えられれば十分だ。これはすごくジュニア担的な思考なのかもしれないけど。

とはいえ当たった以上ありがたく参加するのがオタクである。早朝のバスに乗り込み、名古屋から神戸へ向かった。ものすごく辺鄙な会場だった。複合施設の9階にあるホールである。本当にこんなところで2週間前に大阪城ホールで見た人たちがいるのだろうかと思った。会場に入る前にメールに記載された番号順に並ばされ、入り口で一人ずつ厳格に身分チェックが行われた。そのとき隣になった戸塚担のお姉さんと連絡先を交換しておけばよかったなと今も思っている。

入り口でケータイの画面と身分証を見せると、新たに座席番号を書いた紙が渡された。東京会場はライブハウスのためオールスタンディングだったが、神戸はホールのため、中央に設置されたステージをA、B、C、Zの4つのブロックで囲むように座席が配置されていた。もらった紙に書かれた座席はなんとメンバーが出てくる通路横だった。

正直この時点でもう来た甲斐があったなと思った。接触は勘弁だが近くで見られるのは素直に嬉しい。席に着き、ツイッターを開きながらとりあえず最後のハイタッチでなんと言葉をかけようかと考えていた。

イベントがはじまるとポニーキャニオンの偉い人からA.B.C-Zコールをするように指示された。何度かコールしてメンバーが出てくると、あまりの近さに椅子からひっくり返りそうになった。真横を歩いてる…ただその事実を受け止めきるので精いっぱいだった。

イベントの内容はフリートーク→ダンスゲームコーナー→ファンとのゲームコーナー→歌の披露→トーク(告知など)→ハイタッチでお見送り、であったと思う。ダンスゲームコーナーは彼らが昔バックについていた先輩の曲をどれだけ踊れるか、メンバー間で勝負するものだった。KAT-TUNとかタキ翼とか。トークもダンスコーナーもすごく楽しかった。

そしてやってくる接触の時間である。メンバーがボックスから座席番号の書かれた紙を引き、書かれている座席の人がステージに上がることができる。何部に入ったかまで書くと身バレ待ったなしなのでゲームの内容はここでは書かないが、用意された道具を見てこんなゲームを見せつけられるのか…と悲しくなったことは記憶しているので書いておく。各部のゲームはツイッターのレポ等を参照されたい。

ここまで書けば伏線どころではないので簡潔に書くが、私は五関さんに座席の書いた紙を引いてもらってステージに上がることになった。重ねて言うが身バレ待ったなしなので詳しく書くことは避けざるをえないが、ステージに上がって、ゲームをして、五関さんが好きですと本人に告白することになった。すごくどうでもいいが年始のジャニワでもお見送りで「好きです」と告白しているので2回目である。

 

そもそも私が五関さんに転がり落ちたのは昨年行われた舞台『ファウスト』を観劇したことがきっかけである。たまたま同日に東京ドームで行われた『嵐のワクワク学校』の昼公演のチケットを持っていた私は、夜まだ時間があるから何か別の舞台でも見て帰ろうかな、と軽率に思って当日手渡しでチケットを譲ってもらってアイアシアターに足を運んだのだ。それがすべての始まりだった。アイアシアターの37-38通路に表れた五関さんを見た私は、あの固い椅子から滑り落ちそうになる。「なんて綺麗な人なんだろう」完全に一目惚れである。長髪のウィッグに跳ね上げたアイライン、2次元から出てきたような衣装に身を包んだ五関さんは、今まで少年倶楽部で見ていた五関さんではなかった。赤いマントを翻して舞台に上がり、演技をし、殺陣をし、歌う姿に私は心を持って行かれた。まさに悪魔の所業である。

その日から五関さん五関さんとことあるごとにつぶやくようになるが、自担は今をときめくジャニーズジュニアの平野紫耀くんである。担当は紫耀くん、好きな人は五関さんなんて言いながら1年過ごした。その間にも双方の現場に足を運んだ。担当のみならずえびの現場も多ステしているし、他のメンバーの外部舞台も観に行った。えびを好きでいることは楽しい。心の安寧でもあったと思う。今もだけど。

 

そんなゆるゆるとしたファンだった私が、突然接触の機会を与えられたのだ。正直言って「なんで私が?」状態だった。私よりファン歴の長い人なんてごまんといただろう。私よりずっと長く五関さんを見ていた人のほうが圧倒的に多かっただろう。それなのに「私が」選ばれた。これはもう完全に運としか言いようがないのだが。運が良かったのか、20年分の運をすべて使い果たしたのか。それは分からないけれど。それでも後にも先にもこんな風にジャニーズのアイドルと接触することはないだろう。それほどまでにあり得ない、出来事だった。

放心状態で会場を後にした私はLINEで連絡を取り合っていた子に出来事すべてを話すことでしか冷静でいられなかった。いや、話しているときも冷静ではなかったけど。「降りるしかない」「五関さんが花宮ちゃんを選んだんじゃなくて、花宮ちゃんが五関さんを選んだんだよ」と向けられた言葉が私をより浮き足立たせた。帰りは新大阪で出張に来ていた母と落ち合って新幹線に乗って帰ったのだが、正直記憶がほぼない。駅でファンミに来ていたお姉さん方に声を掛けられて新大阪まで送ってもらったことは覚えている。お姉さんたちがいなかったら電車に頭から突っ込んでいたかもしれない。今も仲良くしていただいて感謝しかないです。

 

その日から一週間、頭の中には五関さんしかいなかった。『ファウスト』再演のチケットも大阪の大千秋楽しかとっていなかったが、名古屋に帰ってから東京公演のチケットを2公演分取った。ファンミーティングの1週間後に『ファウスト』を見るためだけに東京に行き、好きすぎて胸が苦しいと言いながら名古屋まで帰ってきた。もうこの頃には友達に「ひと夏の恋じゃ済まないから諦めて掛け持ちしなよ」と言われるくらいにはなっていた。私もなんとなく掛け持ちをするようになるのではないか、と思いはじめていた。

その次の1週間は自担である平野紫耀くんがMr.King vs Mr.Princeのメンバーとしてテレビ朝日系列の番組に出まくり、EXシアターでガムシャラ夏祭り特別公演がはじまる週だった。なにより大きな仕事はオールスターゲームでのパフォーマンスだろう。満員の東京ドームで、野球ファンに囲まれるアウェイの中で歌う。その知らせを聞いたときは上記のように五関さんに浮かされていたが、さすがに目を疑った。ネットニュースに載せられた紫耀くんのコメントは頼もしく、あぁこの子なら大丈夫。と謎の安心感を持っていたが、それでも本番当日は朝からなんとなくソワソワしていた。

中継を生放送でみることはできなかったが、録画した番組を見て、胸がいっぱいになった。さすがに緊張した面持ちではあったけど、今できる全力のパフォーマンスだったと思う。6人には今と輝く未来しかない。そう感じたパフォーマンスだった。「勝って爪痕を残す」ことは容易ではないし、できたらいいねとつぶやいていたが、本当に彼は、彼らは東京ドームで勝って爪痕を残していた。『何があっても前に前に前に行こうぜ』と、その歌詞通りのパフォーマンスだった。

東京ドームで、オールスターゲームで歌う紫耀くんを見たら、やっぱり私には紫耀くんの担当しかできないという気持ちが湧いてきた。紫耀くんの未来を一番近くでずっと見ていたい。そう思った。私が「紫耀くんの担当をしている」事実がすごく嬉しかった。ここまで応援してきたことは間違ってなんてなくて、私が紫耀くんを選んだんだと、はじめて自覚した。そうか、私は過去のある時点で紫耀くんと見る未来を、今を選んでいたんだな。それからずっと、担当は紫耀くんだけだ。

 

オールスターゲームの2日後にEXシアターでキンプリとしてパフォーマンスする紫耀くんをはじめてこの目で見た。実はこの日、夜は『ファウスト』のチケットを取っていた。2週間前の私は、19日付で掛け持ちを宣言するだろうと思っていた。紫耀くんと五関さんを同じ日に見て、同じ「好き」の土俵に上げると思っていた。でもそれはできなかった。EXシアターに立つ紫耀くんを見たら、あっ私この子の担当しかできないや、とすんなり思えた。紫耀くんが好きで、紫耀くんしか見えてなくて、めんどくさくて重たい感情も全部ひっくるめて私は紫耀くんの担当がしたい。担当ができるのは紫耀くんだけだと思ったから。

ファウスト』の最後で歌われる曲を聴きながら、こんなに好きな人のことを担当にできないなんて悔しいなぁと思った。五関さんのことは外見も内面もひっくるめて非の打ちようがなく好きだ。どうしようもなく好きだ。好きだけど、担当はできない。それが悔しくて、ちょっと泣きそうになった。

 

そういうわけで長々と書いてきましたが、私はこれからも平野紫耀くんの担当をします。五関さんはずっと一番好きな人です。掛け持ちが嫌な人も、こういう中途半端な立場をとるのが嫌な人も、どっちもいると思いますが、私はこれからもこういうスタンスでオタクをやっていこうと思います。