きみのことが好きだよ

きみがぼくのこと知らなくても

大好きと大嫌いの間でのたうち回ってるだけ

はてなブロググループのアイドルに入ってますが今日はアイドルの話ではないです。バンドの話です。

アイドルを好きになったのとほぼ同時期にバンドにハマりました。最初は王道な入りだったのにいつのまにかサブカル系と呼ばれるテレビに出ないようなバンドを追いかけるようになってました。

高校1年生の時にクリープハイプと出会いました。フォロワーの人がこぞってつぶやくクリープハイプというバンドとはなんぞや。ツタヤで借りてきたCDを聴いた感想は「よくこんな高い声で歌えるな」そこから気に入って四六時中聞いていました。ちょうど落ちこぼれていく時期と重なって、眠れないままタイムラインを眺めてクリープハイプを聴いて夜が明けるなんてこともありました。

はじめて行ったライブは名古屋のキャパ150人のライブハウスでスリーマンでした。ライブをはじめて観て感激して、終わってから少しだけメンバーとお話しをしました。目の前にいるのがなんだか不思議でとてもドキドキしました。尾崎さんの白いシャツが浮かび上がっていてとてもきれいだったことはぼんやりと覚えてる。

待ちくたびれて朝がくる

待ちくたびれて朝がくる

 

 

ほどなくしてクリープハイプはメジャーデビューをしました。する、と発表したライブはバレンタインの日でUstream中継があって、私は中継を見ながら泣きそうになりました。そう遠くない日になるという予感めいたものはあったけれど。

メジャーデビューアルバムは春先にリリースされました。私は高校2年生になっていました。わざわざタワーレコードに出向いて買ったCDを開けたら紙の匂いがして、あぁこれは大切な1枚になる、と思いました。iPodに取り込んでからは通学路で毎日毎日聞いていました。どの曲も大好きだけれどインディーズのときよりも少し明るくて、これがメジャーなんだと思ってちょっとだけ寂しかった。

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 それからクリープハイプは瞬く間に人気の新人バンドになりました。すぐにファーストシングルのリリースが決まりました。ミュージックビデオには有名な俳優が出演してくれるし、なんだかすごいことになっていました。キャパ400人足らずのライブハウスでやる名古屋のワンマンライブは即日完売で、とても良い整理番号だったけれどとても遠くに感じました。

 

 あれは高校2年生の夏でした。ファーストシングルがリリースになる前の、名古屋で行われる大型ライブイベントにクリープハイプは出演しました。その頃にはもう大変な人気で、始まる前から満員のライブハウスでどうにかこうにか前のエリアにしがみつくようにして立っていました。

ライブが始まって気づく違和感。明らかに客層が違うのです。クリープハイプは(演奏は勿論)歌がすごく良いバンドで、端的に言うと尾崎さんの独特な歌声が生々しい歌詞を歌うことが魅力なのです。それなのにそこに集まるお客さんは、尾崎さんの歌声を書き消す声で歌い、ただ体をぶつけ合う暴力的なモッシュをしていました。単純にライブを楽しむ、というよりも騒ぎに来ていただけだったのです。

私はそれがすごく悲しくて、尾崎さんもどんどん機嫌が悪くなっていって、曲の合間のMCもキレぎみでした。でも私はそんなこともあまり覚えてなくてただ異様な熱気に気おされてどんどん位置が下がっていました。気が付いたら、メンバーが見えないほど遠くまで押し流されていました。

そこで呆然としていた時に尾崎さんが「新曲をやります」と言って歌い始めたのが『おやすみ泣き声、さよなら歌姫』でした。

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 最後の4小節君の気持ちが動く さよなら

これは私のための最後の曲だったのかもしれないと思いました。

 

それから私はクリープハイプから徐々に離れていきました。彼らはライブ会場をどんどん大きくして、ついに武道館2デイズという偉業を果たしました。風のうわさに聞いただけ。もう彼らと交わることなんてフェスくらいだと思っていました。

CDを買うのもやめて、やめたところでテレビでバンバン流れるのだから表題曲くらいは聴くに困らなかったけれど、そのくらいの関心でいた今年の夏。たまたまTシャツを持っているバンドがクリープハイプしかなくて、それを着てフェスに行きました。雨の降る中でライブを見て、感情が1ミリも動かされなかった。この日も変なお客さんのせいで尾崎さんは機嫌が悪かったけれど、お客さんの相手をしてしまった尾崎さんもよくなかったと思ったし、本当に1曲も心を動かされなくて、あぁもう本当に終わったのかもしれないなぁと思いました。新曲をやります、と言って歌いだした曲も、耳を通り抜けるばかりでした。

 

それから1ヵ月と少したって、私は妹の付き添いで大阪へライブ遠征をしました。出演者の中にクリープハイプの名前はあったけれど、お目当ては別のバンドでした。たまたまお目当てのバンドの次がクリープハイプで、私はフロアの一番後ろから休憩がてら見ようと思っていました。

1曲目に演奏された曲は『イノチミジカシコイセヨオトメ』2曲目は『手と手』3曲目は『愛の標識』でした。1曲目のイントロをが流れ出したとき、思わずえっ、と声を出しました。ワンマンライブ以外でやることのない曲だからです。まさか、と思いました。

このイベントは特殊な記念で、スペースシャワー*1が主催して毎年行われているツアーの15周年記念イベントでした。クリープハイプはメジャーデビューした2012年に出演しています。この3曲はメジャーデビュー作のアルバムの1~3曲目にあたる曲で、つまり彼らは、当時の曲を今、演奏していたのです。

私が一番クリープハイプを追いかけていた時期の曲を、今のクリープハイプが演奏している。大好きだったけど長らく聴いていなかった曲たちでした。2曲目のイントロがかかったときも、3曲目のイントロがかかったときも、会場で1番驚いていたのは私ではないかと思うほどで、思わず声を上げていました。隣で見ていた妹に「今日のセトリやばい!!」と話しかけてしまうくらいには興奮していました。まさかもう1度聴くことができるなんて。聴きながらいろんなことを思い出しました。『愛の標識』の銘菓が採用されて嬉しかったな、とか。本当に些細なことだけど私にとっては大事な思い出が、どんどん溢れてきました。

さすがに当時の曲ばかり演奏することはできないので、4曲目は去年リリースされた曲『エロ』が演奏されました。しかしここでアクシデントが起きます。尾崎さんのマイクが壊れて、歌声を拾わなくなってしまったんです。私は声が途切れた時、尾崎さんに何かあったんじゃないかとまず思いました。歌声は聞こえないのに続く演奏。演奏が止まらないのであぁこれは機材の故障だ、と逆に思うことができたのだと思います。マイクが壊れたのは1番のサビのあたりからだったと思うのですが、そこからマイクは音を拾ったりまた拾わなくなったり、とムラがあるようでした。

そこで気づいたのが、前の方にいるファンの人たちが歌ってるな、ということでした。別に歌詞がスクリーンに出ているわけでもないのに。

だってだってだってだってそれなら

どうせ最後はこうなるんだから

今出来ることをしよう もうコレしかないし

正直、歌詞が分からないことがもどかしかった。私は2014年にはもう、彼らの曲を聴かなくなっていました。数回ミュージックビデオを見た程度では覚えられるわけがない。それでもなんとか、伝わっていることを伝えたかった。

慌ててスタッフさんがマイクを交換しに来たこともあり、なんとか持ち直した次の曲は『おやすみ泣き声、さよなら歌姫』でした。イントロがかかった瞬間、ぶわっと記憶がフラッシュバックしてきました。それはあの夏、私がもう無理だと思うきっかけになったライブ。ライブハウスの構造も、キャパも、私が立っていた位置も、あの当時に酷似していて、余計に感情がうずを巻きはじめました。

歌い始めてすぐ、マイクがまた声を拾わなくなりました。でも、この曲は違う。私は、この曲を歌詞を見なくても歌うことができる。あの時の私はクリープハイプが大好きで、はじめてのシングルが嬉しくて、何度再生したか分からないくらい聴いていたのだから。

さよなら歌姫 アンコールはどうする 君の事だからきっとないね

それなら歌姫 アルコールはどうする 僕は全然飲めないけど

サビではもうマイクは交換されて、尾崎さんの歌声が聞こえるようになっていたけれど、それでも私は歌うことがやめられなかった。隣に妹がいなかったら、立ってられないくらい泣いていたと思います。

 

尾崎さんはライブ中に何も言わなかったけれど、終わった後にツイッターにこんなツイートが投稿されていました。

 尾崎さんは、お客さんが合唱することを露骨に嫌がる人です。それはあの夏から今も変わらない。『HE IS MINE』や『社会の窓』の”歌ってもいい部分”なら違うけれど。その尾崎さんが、本人のツイートではないにしろ「ありがとうございました」と投稿している。私はつきものが落ちたような気持ちでした。私の中の、あの夏のライブに囚われた感情が全部すっと消えたようでした。

私は結局勝手にもう無理だと思って、勝手に諦めて、勝手に離れていっただけなんだと思います。人気が出る、ということは、私と同じように彼ら自身を、彼らの曲を大事に大切に思ってくれる人だけが増えるわけではありません。その場(ライブ)が楽しければいい、と思う人もいます。私だって、よく知らないけどライブが楽しいからいいと思ってるバンドもいます。それと同じ。いわゆる「にわか」が増える。その「にわか」が増えたことに私は耐えられなかった。私の大事にしたものをいとも簡単に壊して奪っていく人たちと共存していくことはできませんでした。だから私は、思い出として鍵をかけて自分の中だけに留めておこうとしたんだと思います。でもクリープハイプは過去ではありません。現在進行形で活動しているバンドです。記憶の中だけの存在じゃない。

 

あれからずっとクリープハイプのことを考えています。普段なら紫耀くんのことを考えてるのに、あのライブが忘れられなくて頭の中で何度も思い出してしまいます。好き。単純に、ただそれだけなんだと思います。私はクリープハイプが好きで、嫌いになんてなれるわけなくて、ずっと好きだったのにその気持ちに蓋をしていただけだったんだなって。クリープハイプも、クリープハイプについてきたファンも、あの夏と同じではありません。だったら何も悲観することなんてなくて、じゃあ私もまた聴くようになれば、ライブに足を運ぶようになればいいんじゃないかな。別に勝手に聴かなくなってライブに行かなくなっただけなんだから、誰の許可がいるわけじゃないけど。アイドルじゃないから出戻り宣言するまでもないんですけどね本当は。それでもこれがある種私の出戻り宣言です。

 

今日妹が新譜を買ってきてくれました。『リバーシブルー』フェスで聴いて心が動かされなかった曲。蝶々、という単語がやけに印象に残っていました。

リバーシブルー

リバーシブルー

 

 

いつも会いたくない会いたくない会いたくない

そんな気持ちとは真逆の気持ち

 

嫌いって言ったって結局ここに帰ってくるし、会いたくないって言ったって本当は会いたい。捻くれてねじ曲がった素直になれない歌詞が好きで、私のことを歌ってるって思っていました。高校生のときから、これっぽっちも変わってなかったみたい。今も捻くれたまんまだよ。馬鹿みたいだな。っていうか馬鹿だな。

 

Title : ウワノソラ/クリープハイプ

*1:テレビ局